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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第29章 《閑話》とあるアイドルプロデューサーの休日




『私は職業柄、人を見る目はありますよ。
貴女は、自分が思うほど 見た目も性格も悪くない。

ただ…貴女本来の魅力を引き出す為には、貴女自身の認知を変えなければなりません。
そうすれば、原石が光るように。霞んだ鏡が本来の輝きを取り戻すように
貴女は絶対に、変われますよ』

「私、が…変われる…」

『はい。きっと。
そうすれば、沢山の人が貴女を放ってはおかないでしょう。本当の意味での友人も出来ますよ』


差し出された手を、取るか決めるのは私だ。


『貴女の、本当の気持ちを教えて下さい。
貴女は…今の自分を、変えたいと 思いますか?』


人を信じるのが怖い。裏切られたら、立ち直れないから。
自分を変えるのが怖い。変えられなかった時、傷付くのは自分だから。

でも…


『大丈夫。怖がらないで…大丈夫』

「私、は…変わり、たいです。
嫌な事は、嫌って言いたいし、腹が立った時は、やめてって言いたい。
誰かの下に 立つんじゃなくて、隣に立って同じ景色を見たい。

一緒にいて、支え合えるような、そんな友達が…欲しい!」

『はい』


彼が私に手渡したのは、一丁の拳銃。

指は、しっかりと引き金にかかっている。

あとは、私がこの引き金をひくだけ。

私は、過去の自分をこの拳銃で撃ち抜くのだ。

そうすれば…私は、きっと…


差し出された手のひらに、自分の指を ちょこんと乗せた時。そんな映像が頭の中に浮かんだ。

そして彼は、私の手をしっかりと取ってくれたのだった。


『大丈夫。任せて下さい。私には新しいお友達を作って差し上げる責任がありますからね。
貴女が唯一の友人を失うきっかけを作ってしまいましたので』

「彼女は…本当の意味での、友人ではなかったんです」

『いいですね。その意気ですよ』


彼につられて、気が大きくなっているのだろうか。どうして今の今まで、あんなにも必死で彼女にしがみ付いていたのか、全く分からなくなっていた。

もしかすると、もう既に 少しずつ私は変わり始めているのだろうか。

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