第54章 もう全部諦めて、僕に抱かれろよ
※
もう最奥に到達している肉棒を、さらに ぐっぐっ と奥に押し込む。
子宮口に先端が、繰り返しキスをした。
『あ…っ、や、奥…っ』
「気持ち良い…?」
『…ん…っ、きもち…い』
「僕も…気持ち良いよ。もう、溶けてしまいそう」
そこで初めて千が腰を引いた。
ぐちゅ、と卑猥な音が耳を掠める。同時に、脳が揺れる程の快感が私を襲う。
『あっ…!あぁっ、千っ!』
「っ…ぁ、…く、」
強い快感に襲われているのは、彼も同じみたいだった。堪らない様子で、千は腰を振り始める。
肉壁を熱くて硬い肉棒で これでもかと擦られて、とてつもない快感が全身を駆け巡る。
「っ…本当に…どうにか、なってしまいそうだ」
『千…っ、あぁっ!千!』
「ん…エリ…、」
普段は、エリちゃんと呼ぶくせに。
情事の際だけ呼び方を変えるのは、卑怯だ。もっと名前を呼んで欲しくて、堪らなくなる。
“ もっと呼んで ” そう告げようとした矢先、ちょうど唇が塞がれた。
激情をぶつけるような、そんな熱のこもった口付け。置いて行かれたくない一心で、私も懸命に舌を絡めた。
千が顔の角度を変える度に、彼の長髪が私をくすぐった。頬や額、首筋に、さらさらと柔らかに触れるのだ。
『…っは…ぁ、千…』
私は、そんな煌めく髪に手を伸ばす。
「…っごめん、髪…邪魔だな」
まるで煩わしいものでも扱うかのように、千は髪を雑にまとめ上げる。そして、手首にあった髪ゴムを噛んだ。
私は 彼の髪が縛られてしまう前に、口元の髪ゴムにそっと手を伸ばした。
千が驚いたように噛む力を緩めると、それは簡単に私の手に落ちた。
『髪…そのままが、いい』