第54章 もう全部諦めて、僕に抱かれろよ
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千が自分で取り出した男根。それは大きく反り返っていて、先端は ぬめりけを帯びていた。
私への愛撫だけで、分身がこんなふうになってしまうなんて。それだけで愛おしさで胸が締め付けられる。
「…っこんな事を、聞きたいと思うなんて…自分でも驚きなんだけど…聞かせてくれ。
君は…僕の事が…欲しいと思うか?」
千は、切羽詰まった表情で私に問うた。ここには、いつもの余裕たっぷりの彼はいない。
居るのは、強く私を求める 1人の男だけだった。
腰をゆるゆると動かして、熱くて硬い先端で、私の膣口にキスを繰り返した。
そんなもどかしい刺激に、私は堪らず腰をくねらせた。
『欲しいよ…!千、欲しい…、お願い。貴方のもので…私をいっぱいにして…!今、すぐに』
「!!
はは…、どうしよう。馬鹿みたいに、嬉しいんだけど」
両手を広げた私に、千は体を預けた。胸と胸がぴったりにくっついて、互いの鼓動を確かめ合う。
そして千は…自らの欲を、私の中に埋めてゆく。
『っ…んっあぁ!』
「く…っ、あ つ」
ゆっくり、ゆっくりと。長い時間をかけて 腰を押し進める。まるで、自分のモノの形を 私に覚えさせようとしているみたいに。
私の中から、また熱い蜜が溢れてしまう。それは接合部から、どろりと下へ垂れていく。
互いの体を、ぎゅっと強く抱きしめながら。千は全てを私の中に収め切った。
『ふ…、ぅ—— ゆ き』
「エリ…、エリ」
挿入したまま、微動だにしない千。
彼は蠢く肉壁の感触を味わいながら、ただ、2度私の名を口にした。