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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第11章 露呈


グラグラと大きく揺れる地面に薄く目を開く。
いつの間にか違う場所へと移されたようで、見飽きた地下牢ではなく船の船底近くの牢屋に横たわっていた。
ぼやける頭であたりを見渡してみれば、上階でバタバタと慌ただしく動く気配と潮の香りが強くした。
どうやら目覚めた原因の揺れは海の悪天候か。

起き上がってみれば眩暈が襲い、壁に寄りかかる。
左右の腕をみれば注射痕が多数あり、ずっと投与を繰り返されていたのだとわかった。
能力者ならば海楼石で繋げば拘束は容易いが、非能力者でありながら同等以上の力をもつ自分への対抗手段が投薬というわけか。
確かに効果絶大で、起き上がるのも儘ならなかった。

船の揺れが落ち着いてきた頃、クロエは船の様子を探ってみた。
クロエからは見えないが、地下の入り口に見張りが二人。階段の先にも数人。
船全体には百人には満たないくらい…。
世界政府の建物に到着する前に逃げなければ、その後はサイファーポールも居るため脱出は厳しくなる。

(そういえばサイファーポールも同船しているのか?世界政府の用件ならばあいつ等は必ずいるはず…)

気配だけでは正確性に欠けるが、あいつ等のような強い気配は船内に見られない。
居て欲しくはないが、いないことにも疑問が生じる。

壁に身体を預けながらどうかロブ・ルッチじゃないようにと願った。





翌日、日が昇ってから栄養の補給と同時に投薬されているのを眺める。どうせ食べないと判断されてからご飯は届けられなくなった。
何度か経口の自白剤らしき物を飲ませられそうになったが、錠剤だったのが幸いし、飲んだふりをしつつ影で吐き出し続けた。

しかし吐き出すには見張りがいなくなってからになるため、口内に隠している時間も長い。
少しずつ溶けだしたそれには催淫剤が含まれていたらしく体が発熱したかのように熱かった。

そしてそれを知らない筈のない海兵達はイタズラにクロエに触れてくるが、なけなしの体力を振り絞って威嚇し追い払っていた。

(なんだか青紫っぽいものが見え隠れするのは気のせい…なのか?)

決まってそういう時に視界の端でちらつく色。
覇気だと勘違いしていた威嚇や威圧をする時に、段々と見えるようになってきた。

それが夢の中の醜い私が纏う空気に酷似していると気付いた時、あの醜悪な存在が笑った様な気がした。


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