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待つ宵 揺らめく水面

第1章 花信風 滝澤 /平子




私は泣き疲れて寝てしまったらしく、その日は琲世さんと倉元さんがシャトーに運んでくれて、シャトーの空き部屋で目を覚ました。

私が目を覚ますと隣には丈さんがいた。

「…丈さん?なんで…」

ゆっくり瞼があいて、丈さんの温かい手が私の頬を撫でる。

「ん」
「もう少し寝てろ」
「はい」


優しい唇が私の瞼に当たる。
丈さん…。


翌朝、起きたら丈さんももう起きていて頬に軽くキスをされた。

「…丈さん」
抱き着いたらよしよしとされて、
「先に行く」
「はい…行ってらっしゃい」
「ん」



*********
その後、リビングに行くと琲世さんがいてコーヒーを淹れてくれた。

「琲世さん、昨日はなんと言いますか…」
「全然、さんは何も気にしなくていいですよ」

「ありがとう、琲世さん!あ、えと…丈さんはなんで…?」
「倉元さんが一応シャトーに運んだ事を言っておこうって、連絡いれたらすぐ返信きたみたいで」
「…」
「平子さんはさんの事が大事なんですね」

「丈さんにはほんと甘えっぱなしで…全然答えが見つからない優柔不断な私の傍にいてくれて…、ほんと感謝してもし切れません…」

「…また飲みに行きましょうね、さん!」

「はい、琲世さん、いつもありがとう」

「僕もさんのことお姉ちゃんみたいに思ってますから」

「……私やっぱり色々言っちゃってますよね…」
「え、いや~僕の口から言うのはちょっと…」

琲世さんが少し顔を赤らめてる…何故!!!

******

そのあとは一緒の会議へ参加予定だったので琲世さんと支部へ行くと、丁度倉元さんにも会った。

倉元さんに
「昨日はご迷惑をおかけして申し訳ありません」
と、頭を下げると倉元さんが

「ちゃん昨日可愛かったよ~、琲世くんに泣きながら抱き着いて可愛い可愛いって連呼してて、酔ったらいつもあんな感じなの?」

(ボンッて私の顔が熱くなった)
「…倉元さん…デリカシー…」

「…琲世さん、とんだ御無礼を…もう上官なのに…」

「いやいやいや、さん、僕は全然!!寧ろ嬉しかったです!!毎日でも!!」

「ちゃん!俺もいつでも!!ほら!!」

気を使って琲世くんがハグどうぞ!って手を広げてて、その隣で倉元さんまでも…。
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