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待つ宵 揺らめく水面

第1章 花信風 滝澤 /平子



『ぐあああああああああああああっ!!』
『ハハハハハ すげぇな誰だこんな乙なことしてくれたのは?』
『敷地内に響き渡ってるじゃねぇか』
『ぐがっ』
『いいこと思いついた』
『色んなとこ穴ぼこにきてお前のビブレーション仲間たちにも聞いてもらおうぜ』
『ぐがあああああああああああああっ』
『はははははははははははは』
『ぎゃあああああああああああああ』



**********


敷地内に響き渡っていた声を私たちは知らなかった。

大ホールへの抜け道を探し、最短で什造先輩の元へ鈴屋班は駆けつけた。

大ホールの下への通路を通ってきたので丁度逃げ出てきた喰種たちを駆逐、そして什造先輩と合流を果たした。

什造先輩にジェイソンを渡し、瓜江二等、六月三等と交戦中のビックマダムのところへ向かう。


ビックマダムはそこに居た。
什造先輩を見た途端、叫ぶ。


「什造ちゃーん、玲ちゃん!!ヘルプ!ストップ!ママにたてつくの!?育ててやったのに…!!」

「ママをうらんでいるの?そうなの??」

煩い喰種。大きい身体で素早い動き。
クインケで斬るも間一髪急所を避けていく。
だけど、私たちの攻撃を避けた時に
什造先輩の一振で致命傷を与えた。

「じゅううぞぉぉおちゃん!!」

血塗れになりながら、命乞いをするビックマダム。

そんなビックマダムを見て什造先輩は言葉をぽつりぽつりと零した。


「…ママ、傷だけが あなたからもらった何かでした」
「傷だけが懐かしい…周りの誰があなたをどう言おうと、僕はあなたをうらんだことなんてない これは…仕事です」


什造先輩がにこりと微笑んだ。
マダムはどきりとした顔をした後、叫んだ。

汚い言葉…、阿原くんが什造先輩の耳を塞ぎ、私たちはマダムを駆逐した。


什造先輩の記憶までこれ以上穢すな。


終わったあと、什造先輩を抱きしめた。
「ご無事で…何よりです」


「ふふ、との約束ですから」

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