第1章 花信風 滝澤 /平子
でも、不思議なもので滝澤先輩の血に塗れた私は血を見ても倒れなくなった。
それからは什造先輩の元で腕を上げていった。今は鈴屋班の右腕を担っており、阿原くんが右腕の座を日々狙いに来ている。
今回のターゲットはナッツクラッカー。
そのナッツクラッカーから芋ずる式でビックマダムという喰種を駆逐するのが目標だ。
今回は二課とも合同の捜査になるので、個人的に私はそちらにも興味がある。
二課は昔私が目指していた作戦の計画、指令を担う頭脳派たちの課。
2年前入院期間では、実践はもう無理だろうと言われ二課に異動願いも出せると上から言われたが私は断った。
理由は、現場に行かないと敵の喰種に会えないからだ。
あの日から私は喰種を駆逐する前に必ず聞いている。
政道さんと、亜門さんのことを。
でも、下っ端の喰種は知らないと答える。
今回のビックマダムに会えば何か聞き出せる大きなチャンスかもしれない。
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数日後、琲世さんたちはナッツクラッカーの接触を成功させた。
クインクスの六月三等がナッツクラッカーから勧誘されたとのことだ。
みんなで女装をしたらしく、琲世さんの女装姿を才子ちゃんが見せてくれた。
「…とってもみんな可愛いわね」
「…一等はママンがきらい?」
「…琲世さんのこと…?ううん、嫌いじゃないよ」
「そっか、ママンは良い人だよ。一等も今度シャトーに来て!」
「時間作るね」
「やったあー!」
私と才子ちゃんが話していると、和修準特等との話を終えて、会議室から琲世さんと什造先輩たちが出てきた。
真戸先輩、平子上等、下口上等もその後出てきた。
「真戸上等ご無沙汰しております」
と、挨拶すると真戸先輩もこちらに来て
「、かなり手柄を挙げているらしいな」
「早くみなさんに追い付きたい一心です」
「そうか、今回のオークション掃討作戦はよろしく頼む」