第1章 花信風 滝澤 /平子
什造先輩は相変わらず可愛くて、昔よりも気を許してくれている感じがする。
私の手作りのチョコチップクッキーが大好きで、よく作ってはプレゼントしている。
什造先輩は今や準特等で、私は一等捜査官になった。
会議室に入るともう会議は始まっていた。
「おっくれました~!」と什造先輩。
「申し訳ございません。遅れました」
2人で入ると鈴屋班のみんなと、
琲世さん、クインクス班の面々がいて
琲世さんは
「什造くーん!」と、手を振っていた。
什造先輩も琲世さんには懐いている。
いつも琲世さんはポケットにお菓子を入れて什造さんは宝物探しのようにしてお菓子を貰っている。微笑ましい。
でも、私は琲世さんが苦手だ。
「さんもお菓子どうですか?」
と、琲世さんは声をかけてくれる。
「いえ、私は結構です。お心遣い感謝します」
琲世さんはちょっとしゅんとしてしまう。
悲しそうにされると余計にどうしたらいいのかわからない。
彼は半喰種で、たまに自分を制御出来なくなる。
そんな彼が近くにいると、どうしても思い出してしまう。
2年前のあの惨劇を。