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待つ宵 揺らめく水面

第1章 花信風 滝澤 /平子




「…ほんと、変わってるよな」

見つめ合うと、時間が止まってる感覚に陥る。
カウンターの下で先輩の手がトンっと私の手に当たって、それから少し握ってくれた。

「…」
「…」

心臓がうるさい。ドクンドクンドクン…

「せ、んぱ…」
「…」

ドクンドクンドクン…ドクンドクン…
パタッ

「…?!!?」


********

なんだか、揺れてる…?
すごく大好きな匂いがする。スンスン。

「…?起きたか?」
「…ん、…いい匂いがします…?!」

「お前の家分かんなかったから俺の家に向かってるけどどーする?」

「…えええ!!!」

私がびっくりして仰け反ると先輩が変な声を出してた。

「ばか!動くなよ!」

「すみませんんん、、おんぶさせてるし、すみませんんん」


「軽いからいいけど、お前急に気を失ったからすげー焦った」

ん?あれ?私、なんで…
そ、そういえば先輩に手…握られた…。
いい匂いの先輩。。
あ、またクラクラしてきた。

堪らなくなってぎゅうと先輩にしがみついた。



「…なあ、お前連れて帰っていいの?」
「……」
「黙ってたらわかんないけど、、」
「先輩…ドキドキ聞こえませんか…?」
「…聞こえてる」
「…これが返事じゃ伝わりませんか…」

その後間もなくして先輩のお家に着いた。


エレベーターでもドキドキして先輩の顔が見れなくて、黙ってたら先輩も何も言わなくて私の心臓の音だけが響いてるんじゃないかと思った。
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