第22章 愛ゆえの我儘
病院につくなり色々検査されて、診察室で5代目と向き合う。
わたしの後ろでは、心配そうなカカシが5代目の言葉を一緒に待ってくれている。
何かの紙を見ながら5代目が深いため息をついた。
「サク」
うう、怖い。
何がわかったの?
恐々と5代目を見上げて、わたしは小さな声で「はい」と返事をした。
「お前、妊娠してるぞ。
しかも、大きさからしてもう6ヶ月くらいだ」
「「え!??」」
2人同時に大きな声を出す。
「なんでこんなに大きくなるまで気づかん!
筋肉質だと腹が出にくいとはいえ……。
こんな体で任務に出て……。
元気だからよかったものを。
お前はもっと自分の体を顧みろ!!」
そのあとも、目を釣り上げてくどくどと怒られ、手に持ったままだった任務の司令書をパッと取り上げられた。
「す、すみません!!」
迫力に押されて思わず謝る。
5代目は呆然としているカカシの報告書も取り上げると、その場で読みだした。
「とりあえずサクの任務は全部白紙だ。
お前は孤児院の方に専念しろ。
あとカカシ。
報告書確かに受け取った。
明日は朝いち火影室に来い!
サクの任務、お前にも振り分けさせてもらうぞ。
2人とも今日はもう上がれ」
それだけ言うと、5代目はガタリと椅子から立ち上がり、忙しそうに部屋を出て行こうとする。
わたし、任務に穴をあけちゃったんだ。
それは誰かにしわ寄せがいくことを意味していた。
情勢が不安定で、今はみんな多忙なのに。
だからといって、こんな体では任務にも出られない。
「あの、任務に穴を空けてしまい、本当にすみません……」
頭を下げるわたしを、5代目が怒った顔のまま振り返る。
「まったくだ!
これからお前がこなす予定だった任務を振り分けなきゃいかん」
そこで言葉を切って、5代目がわたしとカカシを見て少し笑った。
「だが、おめでとう。
元気な子を産め」
それだけ言うと、5代目は次こそさっさと部屋を出て行ってしまった。
「はい!ありがとうございます!」
その背中に、わたしは大声で返事をした。