第16章 サスケ
「ふ、ふふっ。」
思わず笑ってしまうと、真っ赤な顔のサスケくんに睨まれた。
「あ、ごめん。
でもやっぱお腹空いてんでしょ?
ここの肉まん、大きくて美味しいんだよ。
一緒に食べようよ。」
今度は袋ごと差し出すと、バッと立ち上がったサスケくんが苛立たしげその袋を手で払う。
勢いで袋から落ちた肉まんがひとつ、飛び出して川に落ちてしまう。
「「あ…。」」
2人の声が重なった。
戸惑ったようなサスケくんの顔が目に入る。
一瞬の沈黙の後、サスケくんが駆け出す。
「…っ、気分悪い!帰る!!」
「あ、待って…!」
追いかけてもう一つの肉まんだけでも渡そうとしたけど、やめた。
きっと今渡しても食べてくれない。
気を許してもらうには、どうしたらいいんだろう…。
わたしは今までサスケくんがいた桟橋に座り込んでもう一つの肉まんにかぶりつくと、自分の無力を感じながらお茶で口の中の肉まんを流し込んだ。