第16章 サスケ
すると、サクが心底安心したように柔らかく笑った。
布団の中で、サクの温かな体を抱きしめて、柔らかな髪に顔を埋めると、サクの匂いに混じって、かすかに血の匂いがした。
そういえば、この匂いがすることは一緒に暮らすようになってから度々あったけど、サクが寝込むのは、オレが知る限り今日が始めてだ。
任務中でたまたまいなかったのか…?
「サク、いつもは痛くなったらどうしてたの?」
1人で苦しんでいたのかと心配になる。
「いつもは、護身の為にピルを飲んでるから、あまり痛くならないんです。
今回は任務で体がすごく冷えちゃったから、久しぶりに痛くなっちゃって…。
でも、先輩にこうやって看病してもらえるなら、生理痛も悪くないですね。」
冗談めかしてそう言うと、サクがくるりと向きを変えてオレの胸に甘えるみたいに頬を擦り寄せる。
口元に笑みを浮かべた幸せそうなその顔に、オレまで満たされる。
「そっか。」
それだけ言うと、オレはサクの体を抱きしめた。
2人が黙るとサー、という雨の音だけが部屋に満ちていく。
その音に包まれながら、オレたちはいつの間にかどちらからともなく眠りに落ちていった。
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