第16章 サスケ
「あの、じゃあ薬。
帰り道で辛くなって、帰ってすぐベッドに行っちゃったから、まだ痛み止めを飲めてなくて…。
取ってもらっていいですか?」
「ん、りょーかい。」
ベッドを離れ棚から痛み止めと、台所で水を汲んでサクのところに戻る。
サクがお礼を言って起き上がり、コクリと薬を飲み込むのを見届けてからコップを受け取りサイドテーブルに置く。
「あとは?
どーしたら、楽になんの?」
「カイロとかして温めるとマシになるんですけど、寝る時は低温やけどしちゃうからできなくて…。
あとは、薬が効くまで待つしかないんです。」
「あっためる…ね。」
そう言ってオレはベッドに乗り上げ、薬を飲む為に起き上がっていたサクの肩を押し寝かせると、背後から抱えるように一緒に横になる。
「え、わっ先輩!?」
いきなり倒されてビックリしているサクを尻目に、布団をしっかり肩まで掛けると、ピタリとサクに体を密着させて手を下腹に当てる。
するとカチャリと手甲が音を立てる。
「色々ジャマだね…。」
帰ってきて何も装備を外してなかったことに今更気づき、布団の中でグローブや額当てなんかを次々脱いで地面に落とす。
全て外すと、再びサクの腹、子宮のある辺りに手を回す。
「これでどう?」
サクの体から、力が抜けていくのを感じる。
「ん、すごく気持ちいいです…。」
「そう。」
小さな体を引き寄せて温めるようにさらに体を添わす。
サクと暮らしていると、改めてくノ一の大変さを思い知る。
体格や体力差だけじゃない。
毎月ある体の不調をものともせず、日々任務をこなしているのだ。
せめて一緒にいるときは労って甘やかしてあげたい。
サクの腹を温まるようにゆっくりと摩る。
するとサクが少し振り向き、肩越しに「ありがとうございます。」と小さく言った。
オレはどう致しましての代わりに、その柔らかな頬に口付ける。