第87章 消えない絆
「__そーだ。お前ら知ってるか?」
自身の照れを隠すように、エースは逸らした視線の先にある“ある物”を見て思いついたように声を上げる。
「盃を交わした者は、兄弟になれるんだ」
「兄弟?」
「そう。星に祈るよりも、ずっと確実な誓いだと思わねェか?」
こっそりとくすねてきたダダンの酒瓶と三つの盃を広げ、小屋の前から少し離れた場所で三人は円を描いて座る。
心配でついてきた水琴はエースが何をやろうとしているのか気付いた。
注がれる透明な液体が零れないよう慎重に掲げながら、エースは二人に目を向ける。
「これから先、おれたちは海賊になるだろ。一緒の船で出られればいいけど、先のことは分からねェ。
だけどたとえ別の船に乗ったって、この誓いがおれたちを兄弟の絆で結び付ける」
そうなりゃずっと一緒だ、と得意げに語るエースにサボとルフィは顔を輝かせた。
「兄弟か……いいな、それ!」
「エースとサボがおれの兄ちゃんかァ!」
「よし、それならお前らも持てよ。零すなよ!」
突き合わされる三つの盃が宙でかつりと音を立て酌み交わされる。
「……にげー!」
「これ、めちゃくちゃ強いやつじゃないか?」
「適当に持ってきたからな。……ルフィ!目ェ回すな!」