第87章 消えない絆
「そうだ、みんなもよかったら書かない?」
既に竹にはダダン一家の面々が書いた短冊が飾ってある。
そこにルフィが書いてくれた短冊を付け加えながら、水琴はベンチに座る三人を振り返った。
「願い事っていうけど、抱負とか夢とかでもいいし。せっかくの行事だしやってみてよ」
「いいなぁ。何書こっかな」
「なー。水琴何枚書いてもいいのか?」
「いいよ。たくさん書いた方が映えるし、いっぱい飾ってよ」
手渡された短冊を握りしめ、よーし、とサボとルフィは書き始める。
「エースもどう?」
ただ一人ベンチに座ったままのエースに水琴はそう声を掛ける。
ずっと静かだと思ったら今の今までスイカにかじりついていたらしい。
足元に出来ていた皮の山に一体どれだけ気に入ったんだと呆れかえる。
「何か書くことない?」
「おれは別にいい」
「本当に何でもいいんだよ?」
「夢は自分で叶えるし、わざわざ書かなくても分かってるしな!」
「もー。可愛げないなぁ」
うりうり、とその頭をかき回せばやめろよ!と抗議の声が上がる。
できたー!とルフィの嬉しそうな声が響いた。
「水琴、飾ってくれよ!」
「いいよ。なんて書いたの?」
嬉しそうに持ってきた数枚の短冊を受け取り、水琴はその文字に目を落とす。
そこには『海賊王になる!』といった定番のものから『肉がいっぱい食えますように』という微笑ましいものまでさまざまな願い事が書かれていた。
ルフィは素直でいいなぁとほっこりしている水琴の目に最後の短冊が目に入る。
『エースとサボと、ずっと一緒にいられますように』
驚く水琴の脇からエースがその短冊を覗き込み、同じように目を見開く。
「__だってさ」
先にその内容を見ていたのだろうサボが照れ臭そうにそう零す。
「ずっとずーっと!大人になっても一緒にいるんだ!」
もちろん水琴もな!と笑顔で告げるルフィに愛しさが溢れ返る。
さすがのエースも真っ直ぐなルフィの想いを一蹴することは出来なかったようで、照れたように視線を逸らした。