第4章 夕虹
その日から、俺はずっとモヤモヤした想いに苛まれた。
学校についたら、何故か松本を目で追ってしまう。
智とコンタクトをとらないか、と気が気じゃなくて。
冷静に考えれば、学年も違うし、会うことなんてしないだろう。
例え、二人が学校内で会ってたって、俺には関係ない話だってのは、頭では理解してる。
でも、万が一、本当に二人でいるのをもう一度見てしまったら……俺はたえらんない気がする。
もう、それくらい追い込まれてた。
今日も風間たちと談笑してる松本を見つめては、なんともいえない思いにとらわれる。
だって、智の理解者は俺だけだ。
彼の横は誰にも渡したくない。
知ってる?
俺が何年かけて、智とこの関係になったか。
なんで、ポッと出のお前なんかが、智の興味をもってくわけ?
黒い想いをもっているせいで、思わず彼を睨んでしまっているのだろうか。
時々目のあう松本は、少し戸惑う顔で俺を見返す。
なに?とでもいうように。
なに、じゃねぇよ。
俺から智を奪うなよ。
おまえ、どっか行けよ。
噛みつきたい思いをおし殺して、目をそらし。
今日も俺は開いた参考書に視線をおとす。
ぐっと奥歯を噛んで、ため息をついた。
俺は……松本が嫌いだ。