第6章 春の虹
最近、買い換えたという相葉さんの愛車に乗せてもらう。
黒のSUV。
ピカピカの革のシートが高級感あって、なんか恐縮してしまう。
しかもサングラスをした相葉さんは、めちゃめちゃかっこよい。
俺は、じっとみつめないように気をつけながら、運転する相葉さんをチラチラと観察した。
「昔はこれよりもう少し大きいの乗ってたけど、今は1人だからさ。燃費のいいやつにしたんだ」
いって、ステアリングをきる仕草も。
「暑い?」
といって、俺の方に近づきながら冷房の風量を確かめる仕草も。
「天気いいね」
と、おひさまに負けないくらいの笑顔をみせる相葉さんが、しんどいくらいに素敵で、俺はほんとに恋する乙女になってしまったんじゃないかと思うくらい、好きの気持ちをおさえるのに必死だった。
「…どこにいくんですか」
「ん?海」
「海……」
「そう。夕日がとても綺麗にみえるところがあるんだ。二宮にみせたくて」
「ほんとですか」
「うん。びっくりすんなよー」
まるきりデートのこれは、都合のいい錯覚をしてしまう。