第6章 春の虹
「二宮、このあと予定は?」
相葉さんが外を眺めながら、たずねる。
時計の針はまだ二時だ。
「えっと……特には」
え。これもう帰れって言われてんのかな。
俺は焦った。
ランチをいただいて、お茶をご馳走になって。
確かにそろそろ、おいとましないといけないかな…。でもなんだか別れがたくて。フルフル小さく首を振っただけにとどめた。
………もう少しだけ一緒にいたい。
すると、相葉さんは、そんな俺の心を見透かすように、いい事思いついた、というように手をうった。
「じゃあさ、ドライブしよっか」
「ドライブ…」
「……嫌?」
「いえ!」
俺の反応にソッコー不安そうになった相葉さんを見て、俺は首がもげそうなくらい首を振る。
違うよ!夢かと思って、ぼーっとしちゃっただけだよ!
俺はドキドキしてきた。
ドライブだって?
相葉さんにそんな感情はまったくないのはわかってるけど、俺にしたら立派なデートだ。
嬉しくて叫び出しそうだ。