第6章 春の虹
おなかいっぱい相葉さんのご飯をいただいて、はち切れそうなお腹をさすってると、
「うわぁ。チョコレートケーキあるじゃん」
相葉さんは箱の中身を見て嬉しそうに笑った。
こないだサトたちが、相葉さんの好物だって言ってたの思い出したんだよね。
俺は、はい、と頷いた。
「近所のケーキ屋ですが、割と有名みたいです。俺はあんまり詳しくないんですけど」
「嬉しいな。コーヒーでいい?」
「あ…ありがとうこざいます」
…………え、もう食えるの?
正直、胃がMAX状態の俺にはきついのだが…。
戸惑いを隠しつつ、ソファに座ってて、という言葉に
素直に従って………窓際に目をむける。
「……………」
そこには以前見たままのたくさんの写真立てが、そのままあった。
若い相葉さんと、サトの父さんが幸せそうにうつってるそれらの写真に変化は無い。
………ならば、キッチンの写真の意味は特にないのかもしれない。
………考えすぎかな、俺。
久しぶりの恋に慎重になりすぎて、被害妄想入ってるのかも。
俺は、ソファで足を抱えた。