第6章 春の虹
サーフィンをしている人たちを眺めながら、ぼんやりしていると、
「はい」
と、缶コーヒーを渡される。
冷たいそれに、ありがとうございます、とお礼をいうと、相葉さんは、ブラックでよかったよね?と、言いながら俺の隣に座った。
ふわりと香る相葉さんの匂いにドキドキしながら、俺は、はい、と頷いた。
隣の県の岬まで来たみたいだ。
既に陽が傾き始めてて、辺りは西日特有のオレンジ色に染まりつつある。
「……綺麗ですね」
光がキラキラと反射する海は、穏やかな波の音とかすかな鳥の声をのせて、俺の前にただただ静かに広がってて。
「日頃の悩んでる自分が馬鹿らしくなるほど、自然って圧倒されるよね」
相葉さんはぽつりと言った。
「ここはよく来るんですか」
「うんたまにね」
「サーフィンとか?」
「………昔に少しね」
相葉さんとサーフィンってすごく似合うかも。
スポーツ万能なんだろうな、と勝手に思っていたから、納得する。