第6章 春の虹
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梅雨真っ只中。
少し無理をした、と思う。
もともと健康には人一倍気を使ってきたつもりだし、食生活だって、一人暮らしだからって手は抜いてない。
だけど、梅雨のじっとりとした蒸し暑さと、ここ最近の忙しさは珍しく俺を弱らせた。
結果、著しく食欲は減退し、俺が、もともともってるヒットポイントも減り、気がつけば。
…………頭いてぇ……
夏風邪にやられたアラフォーの男が出来上がったというわけだ。
パソコンを凝視する振りをして、目をつぶる。
……測ってないが、多分熱はある。
それでも、仕事を休むのは嫌だったから無理矢理出勤した。
役席の立場もあるし、自己管理を失敗したと思われたくなかったからだ。
だが、根性で外回りをおえ、会社に帰ってきたあたりから、寒気がとまらなくなった。
蒸し暑いから、と、クーラーががんがんにきいているフロアにいることが、寒すぎて辛くて、自販機のあるベンチにパソコンごと移動する。
いつも絡んでくるヨコは出張してるし、ショウリと二宮くんは、まだ外だ。
ちょっと休憩しよう……
だが、震える指でコインを投下し、暖をとろうとホットを探すが、季節柄温かいものはおいてない。
マジかよ………ちくしょう
仕方なくスポーツドリンクを選び、口をつけた。
体が震えて仕方なくて、俺は両手で自分を抱きしめるようにして、壁にもたれて目を閉じた。