第6章 春の虹
嬉しいのかそうでないのか…戸惑いの残る顔で、二宮くんは頭を下げた。
「……教えてくれて…ありがとうございました」
「…………俺はただ、2人が誤解し合ってることに気がついたから、教えてあげただけだよ」
俺が静かに訂正すると、二宮くんは、はい、と頷いた。
そうして、ふうっと肩の力をぬくように表情をやわらげた。
それは、誰にも言えずに、ただひたすら抱いてきた重い記憶を、やっと昇華に向けていけることへの安堵にも似たものにみえた。
「……すぐじゃなくていいよ。気持ちが決まったら連絡してやって。番号はかわってないはずだから」
「………はい」
俺の言葉に、二宮くんはまた頷いて……微かに笑ってみせた。
………綺麗な笑顔だった。