第6章 春の虹
無神経というその意味を、智はそれ以上多くは語らなかった。
ただ…すごく悪いことをしてしまったんだ、と。そう呟いてたのが印象的だった。
きっと、智は二宮くんの気持ちに気付かぬまま、潤を好きになったのだろう。
智は、潤を思う話を二宮くんに相談したのか、はたまた態度にあらわしたのか、それは分からない。
でも、知らないまま彼を傷つけた、という認識を持ってるんだ、と思った。
二宮くんが智を抱いたこととは、別問題で。
俺は、黙ったままの二宮くんをじっと見つめる。
「おまえらは、お互いに相手に悪いことをしたって思ってるんだよ。でもこれは、勇気を出して動くことで、きっと元のような関係になれそうだと俺は思うよ」
「……………」
二宮くんは、信じられないというような表情で突っ立ってる。
自分のしたことを許して貰えないだろうと、危惧していたのに、逆に智が謝りたいと思ってくれてるなんて……混乱しているのだろう。
「サトが……」
「うん」
「俺に会いたいって…言ったんですか」
「うん。言ったよ」
二宮くんは、唇をキュッとかんだ。