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きみを想う

第14章 誕生



部屋を移動して暫くすると少しづつお腹が痛くなってきた。
少しひどい生理痛のような痛み。

「あの、看護師さん。
まだ予定より早いんですが、赤ちゃんは大丈夫でしょうか…」

「はい。充分大きいから生まれてきても問題ないですよ。
ご家族もこちらにむかってるみたいなので安心してくださいね」

カカシも毒が体に残ってるって言ってたけど大丈夫かな…。

不安だらけで、胸がギュッとなる。

「お母さん!
赤ちゃん、今すごく頑張ってます。
お母さんが不安な顔をしてると、不思議と赤ちゃんにも伝わっちゃうんです。
リラックスしていきましょう!
6代目も春野さんがついてたら大丈夫です!
赤ちゃんもすごく元気です!
はい。リラーックス!」

そう言ってわたしの両頬を温かい手で包んでにっこりと笑う。

「…ありがとうございます」

そうだ。サクラちゃんとカカシを信じよう。
今わたしに出来ることは、頑張って元気な赤ちゃんを産むことだ。
そっと大きなお腹を撫でる。

体の力を抜いたら少しづつ痛みが増して、陣痛が進んできた。





これでもかと言う陣痛に耐え、ようやく子宮口が全開になる頃にはもうぐったりとしてしまっていた。

でも何度も波のように押し寄せてくる陣痛に、本能のままにいきむ。

「上手ですよー。はい、息吸ってー、はい!いきむ!」

看護師さんの言われるままに力を入れる。
メリメリと骨が軋むのがわかる。

ようやく頭が見えてきた頃、バタンとドアが開く。

「すずらん!」

愛しい人の声。
でも顔を動かして、その顔を見ることもできない。
力が入って白くなるぐらいグッと握られていた手を、ギュッと握ってくれる。

「頑張って!」

コクリと頷くと、また強い陣痛が来て、いきみたくなる。
看護師さんの合図に合わせて思い切りいきむと、硬いものがズルリと出たのを感じる。

「頭出たよー。
はーい息してー。力抜いてねー」

ハッハッと短く息をする。

「もう一度軽くいきんでねー。
いくよー。」

こくこく頷いて、次の陣痛に合わせて軽くいきむとーーー



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