第14章 誕生
「カカシ!!カカシ!!」
いつの間にか近くに来たすずらんが、俺の名を呼ぶ。
ポーチから解毒薬を出しとりあえず飲もうとしたが、うまく手が動かない。
「コレを飲めばいいの?」
それに気づいたすずらんが手から薬を取って、頷くオレの口に少しづつ流し込んでくれる。
目にはいっぱい涙を溜めている。
「すずらんは、だいじょ…ぶ?」
その涙をぬぐいたくて手を上げるが、頬まで届かない。
その手をすずらんが取って、自分の頬へと持っていきコクリとうなずいた。
そのとき、護衛に当たってくれていた1人が戻ってくる。
「6代目、大丈夫ですか?」
「うん。さっきコレ飲んだ…。
痺れはマシになってきたけど、いちお、病院行こうかな」
「はい。
女は捉えたので安心してください」
そう言って肩に手を回しオレを立たせてくれる。
後に続こうとすずらんが立ち上がったとき、パン、と何かが弾けるような小さな音がする。
その瞬間すずらんの顔が蒼白になる。
「すずらん?」
「カカシ…、どうしよう」
「ん?」
「わたし…、破水しちゃったかも…」
見るとすずらんのスカートはグッショリ濡れている。
「え!?」
パニックになって動けずにいるすずらんを抱えて、渾身の力で瞬身の術を使い病院にとぶ。
飛んだ場所は、サクラが診療を終えて片付けをしている診察室。
バタリとすずらんを庇うように床に倒れる。
「え?6代目!?とすずらんさん!」
サクラがビックリして駆け寄ってくる。
「何があったんですか!?」
「とりあ…ず、すずらんをお願い…」
まだ呂律があまり回らない口でなんとか伝える。
サクラはすずらんを見て理解したようで、すぐにすずらんを診察台に寝かせる。
「すぐ、産科の先生にきてもらいますね!」
そう言って、部屋にあった電話をかける。
「カカシ…、大丈夫?」
すずらんが涙目で尋ねてくる。
「解毒薬もすずらんが飲ませてくれたし、オレは毒に耐性があるから大丈夫だよ。
赤ちゃんも、オレたちの子だからきっと大丈夫」
どれくらいうまく言えていたかわからないが、なんとかそう言って微笑んでみせると、伝わったようですずらんがコクンとうなずいた。