第11章 蜜月
唇を離し、微笑み合う。
「……んで、いつまでそこで覗いてんの?テンゾウ。」
ガサッと草陰から困ったような顔のヤマトが顔を出す。
その瞬間すずらんが真っ赤になってパッとオレから離れようとするのを、腰を捉えて阻止する。
ヤマトが、バツが悪そうに視線を逸らして近づいてくる。
「いや、だからヤマトですって。
お二人のイチャイチャぶりに、出るタイミングをなくしてしまって…。
覗いてた訳じゃないんです。すみません」
オレの腕の中で必死にもがくすずらんを無視して話は進んでいく。
「新婚なんだから、イチャイチャしたっていいでしょ。
今一応新婚旅行中だし。
満喫したいの。
で、なんでテンゾウが?」
「里からより、ぼくのいる場所からの方が近かったので、急ぎ行ってくれと連絡があったんです。
詳細も聞いてるんで、あとはオレが引き受けるんで、先輩たちは新婚旅行の続き、楽しんで下さい」
ヤマトと呼ばれることを諦めて、縄で縛ってあった男たちを自身の木分身を出し、抱え上げて去っていく。
「ああ。よろしく頼む」
なんだかんだ頼もしい後輩に全てを託し、すずらんに向き直る。
その瞬間「カカシのバカ!!」と、すずらんがドンっとオレの胸を強く押して、腕から逃れる。
「はは、ごめん。
でも大事な話の途中だったし、やめたくなかったから」
プイっと後ろを向いてしまったすずらんを背後から抱きしめる。
「機嫌直して、すずらん。
大好き…」
耳元にキスをして囁くと、顔を真っ赤にしたすずらんがゆっくりこっちを向く。
「ずるいよ、カカシ…」
悔しそうな顔で、オレを睨みつける。
「大好きなんて言われたら、もう怒れないじゃん…」
ふふっと笑ってすずらんを今度は正面からしっかりと抱きしめる。
すっぽりと腕の中に収まってしまう温かなすずらんが愛しくて、何があっても守ろうと、強く思った。