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きみを想う

第11章 蜜月


「…ごめん。怖かったよな」

すずらんの頭を、怪我してない方の手でそっと撫でると、こくこくと頷く。

「…っ、カカシが死んじゃったらどうしようかと思った」

ぎゅっと瞑った目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
しゃがんだまますずらんの肩を抱き寄せる。

「こんな奴らにやられる程、オレは弱くないから心配いらないよ」

笑って言うと、すずらんがしばらくオレの顔をじっと見つめてから、こくっと頷く。
涙を拭ってやると、ようやく少し笑ってくれた。


今回のことを里に報告するために、パックンを口寄せし、里への手紙を託す。

木の葉の忍が来るまで、ここでしばらく待つことにする。
木陰に腰掛けて、落ち着いたすずらんが、オレの持っていた道具で傷を改めて手当てしてくれる。
傷薬を塗るときに、オレより痛そうな顔で塗るすずらんに、思わず笑ってしまう。

「すずらんは痛くないでしょ」

「だってすごく痛そうだから……」

まだ顔をしかめながら、今度はクルクルと包帯を巻いていく。

「こんなの慣れっこだから大丈夫だよ」

安心させるように笑うけど、すずらんはまだ険しい顔のまま、巻き終わった包帯の先を結ぶと、不安をぬぐうようにオレの首に手を回し、抱きついてきた。

ぎゅっと抱き返してから、目が合うようにすずらんの体を少し離す。
透き通るすずらんの目を見つめて、誓いを立てるようにゆっくりと言う。

「すずらん、オレが忍で、火影である以上、この先もこういうことは付き纏う。
里のために命をかけて戦わないといけないことも、あるかもしれない。
でも、すずらんが家で、オレの無事を願って待っててくれるなら、オレは何がなんでも帰らなきゃ。って力が湧いてくる。
それに、すずらんが危ない時も、今日みたいにオレが絶対守るから。
だから、どんな時も、オレのこと信じててよ」

すずらんの目に涙が盛り上がっていく。

「うん。信じる。
カカシのこと、信じて待ってるから、ちゃんと帰ってきてね」

瞬きした瞬間に、すずらんの熱い涙がポタポタとオレの膝にこぼれ落ちた。

「うん。約束する」

頷いてすずらんに顔を寄せると、すずらんも吸い寄せられるように近づき、優しいキスを交わす。
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