第11章 蜜月
人気のない少し開けた場所まで行き、すずらんを背に庇うように立つ。
「コソコソしてないで、出てこいよ」
3人の男が出てくる。
ーあと物陰に隠れてる奴が2人。
目だけで確認し、3人を睨む。
「ばれてちゃ仕方ない。
おい、あんちゃん、その女置いてきな。
そしたら痛い目見ずに済むぜ」
後ろにいたすずらんが、ぎゅっとオレの服を掴む。
安心させるように、後ろ手にその手を握る。
すずらん狙いか。
最近この付近で女、ばかりが拐われる事件が複数報告されていたことを思い出す。
あらら、当たり引いちゃったかな。
「嫌だ、と言ったら」
「力ずくで奪うまでだ!」
3人の男がクナイや手裏剣を手に、一気に襲い掛かってくる。
飛んでくる手裏剣をクナイで弾き飛ばし、すずらんを抱えて後ろに飛ぶ。
大きな木の幹にすずらんの背を預けると、ちょっとここで待ってて、と男たちに飛びかかる。
隠れていた1人を手裏剣で倒しながら、同時に2人を倒し、1人の男の首にクナイを当てがったとき、すずらんの「きゃっ」という悲鳴が聞こえる。
すずらんが、隠れていたもう1人の男に後ろからはがいじめにされている。
首にはクナイ。
「この女殺されたくなければそいつを解放しろ!!」
と男が叫ぶのと、カカシが1人を倒し、その男の横に立ち、すずらんの首に当てられていたクナイを素手で掴んだのは同時だった。
ポタリ、と、カカシの手から赤い滴が落ちる。
「すずらんに触るな」
殺気を込めた一言に男が怯むのと同時に頬を思い切り殴りつけると、男がドサリと倒れ込む。
急に支えを失ったすずらんが地面にへたり込む。
とりあえず男たちを縄で縛りつけ、すずらんの前にしゃがみ込む。
「もう大丈夫だよ。すずらん」
呆然となっていたすずらんがハッと我にかえる。
「カカシ!手!!」
クナイで傷ついたオレの手をそっと持ち上げる。
傷は、親指の付け根から、手のひらの端まで赤い血がべっとりとついていた。
「このくらい大丈夫だよ」
そう言って笑って見せるが、すずらんの目にはみるみる涙が溜まっていく。
そして、無言で傷にハンカチをまきつけて止血してくれる。