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きみを想う

第11章 蜜月


風呂も入り、2人で寝室に引き上げる。

明日の朝が早いから、荷物を作ってしまう。
昼間に用意を終わらせていたすずらんが手伝いをかってくれたが、オレの用意なんて着替えくらいだからと断わると、パパッと荷物をカバンに詰め込んでしまう。
「本当に早いね」とビックリしているすずらんに近づき、そのままそっとベッドに押し倒す。

「わっ!!」

すずらんの黒い髪が、ベッドに散る。

「だってすずらんに早く触れたかったから…」

そう言うと、すずらんの返事も待たずに口付ける。

「…ふ、ん…」

歯列をなぞり、舌を絡めとると、すずらんの体から力が抜けていく。
存分にすずらんの口内を堪能し唇を離すと、2人の間には透明な糸がひいた。

「カカシ…、明日早い、よ?」

上がった息ですずらんが言う。
でもその瞳は潤んで熱を帯びていて、オレを酷く欲情させる。

指を絡ませながら手を繋ぐと、耳元で囁く。

「でも、今すずらんを抱きたい。
いい?」

耳元にかかる息にフルリと震えて、すずらんがコクリと頷いて目を閉じた。

毎日抱いても、どんなに疲れていても、すずらんを呆れるほど求めている自分がいる。

輪郭をなぞるように頬を撫でると、オレは再びすずらんに口付けを落としていった。




翌日。

昨日の荒天とは打って変わっていい天気。

昼前には旅館につき、チェックインまで時間があったから、大きな荷物だけ受付に預け、温泉街をブラブラ散歩することにした。


土産屋や、温泉まんじゅうを売る店、小物屋など、通りは人も多く賑わっていた。
店を一つ一つ覗いては、楽しそうなすずらんを見ていると、こちらまで楽しくなってくる。

途中昼食も取りながら散策していると、つけられている気配を感じる。
多分、複数人。
まだ、特に何か仕掛けてくる様子もないが、宿までついて来られると厄介だ。

「カカシ?」

急に黙ってしまったオレを不思議に思ったのか、すずらんが見上げる。

「すずらん、ちょっと走るよ」

そう言って、その手を取って走り出す。

「え?」

「つけられてる。
たぶん、忍に」

すずらんが怯えた顔でオレを見る。

「大丈夫。
すずらんはオレが絶対守るから」
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