第9章 正月
お酒で緩んだ頭で、本能のままに口付ける。
「ん…ふ………」
寝ているすずらんから、吐息が溢れる。
首筋を唇で辿り鎖骨に口付けたとき、下の部屋だろうか。
カタンっと微かな音がして、ハッと我にかえる。
なけなしの理性ですずらんに覆い被さろうとしていた体を起こす。
すずらんとは、こんな酔って意識のないときじゃなくて、ちゃんと同意の元にしたい。
少し反応してしまっていた自分の半身をなんとか宥め、しばらくすずらんの寝顔を眺める。
お酒のせいでいつもより赤い頬を両手で包むと、そっと口付ける。
電気を消して隣の布団に潜り込むと、寝不足とお酒のせいもあり、案外すぐに眠気がきて目を閉じた。
翌朝目が覚めると、すずらんが気持ちよさそうに隣で寝ていて、すごく穏やかな気持ちになる。
しばらく寝顔を眺めていたが、「ん…」とすずらんが身じろぎし目を開く。
寝ぼけ眼でパチパチと天井を眺めている。
「おはよ…」と間近で囁くと、すずらんがびっくりしてオレを見る
「ぅわあ!カカシ!?
おっおはよう!!」
昨日酔って寝てしまったことを説明すると、すずらんは運んでくれてありがとう。と恥ずかしいそうに礼を言った。
「カカシはいつ起きたの?」
「すずらんが起きるちょっと前」
「えー、わたし変な寝顔してなかった?」
「変な寝顔ってどんなのよ。
大丈夫、ちゃんと可愛かった」
可愛いの一言ですずらんが真っ赤になる。
可愛いなぁ。と思い、もっと触れたくなる。
「こっちの布団おいでよ」
端によりすずらんの入る場所を空け、入りやすいように手で掛け布団を上げる。
躊躇っているすずらんを、「あったかい空気逃げちゃうから早く」と腕を掴んで強引に引き寄せる。
緊張で硬くなっているすずらんに掛け布団をかけて、抱きしめる。
「うー、すずらんあったかい」
しばらく抱きしめていると、すずらんの力も抜けてくる。
「すずらん、明けましておめでとう。
今年もよろしくね。」
おでことおでこをコツンっとつけて、至近距離で目を合わせる。