第8章 別れ、そして…
ふ、とガイさんが笑う。
「あいつがそんな不義理な奴だと思うかい?
それに、そんないい人がいたら、オレなんかじゃなくてその人と飲みに行くだろうね」
「え、じゃあ、カカシはなんで……」
訳が分からなくてガイさんを見る。
「君はカカシの過去を知っているかい?」
「えっと、ナルトくんたちの先生だったってことくらいしか……」
「そうか。カカシの過去はちょっと複雑でね」
ガイさんはカカシのお父さんのこと、そして同じ班だった2人のことを話してくれた。
話を聞き終わったわたしは、いつの間にか泣いていた。
「そんな辛い過去が…」
「忍の世界は常に死が付き纏う。
だからって、死に慣れることなんてできない。
しかもあいつはそれをすべて自分のせいだと思ってるんだ。
カカシは優しすぎる。
そういうやつなんだよ。
真意はオレにも分からないけど、アイツはきっと君を守りたくて離れたんじゃないかな」
ポロポロと溢れる涙をティッシュで拭う。
「わたしにできることは、ないでしょうか…?」
ガイさんが少しビックリして、それからニッと笑うと、
「カカシを嫌いにならないであげてください。」
と笑った。
さ、長居してしまった。
そう言ってガイさんが車椅子の持ち手を掴む。
「あの、お話してくださってありがとうございます!」
「いえ。お体お大事に」
そう言って部屋を出ていった。