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きみを想う

第7章 赤羽の猛攻


「やはり行く気だったか」

はぁ、と綱手がため息をつく。

「お前は火影だ!
お前の命は、お前が思ってる以上に重い!
此度は敵の力もまだ読みきれん。
まずは精鋭部隊を送り、様子を見るべきだ」

正論すぎて、ぐうの音も出ない。

「ナルトも行かせる。
そう心配するな。部下を信用しろ」

「……はい」

綱手様がオレの肩をポンと励ますように叩いてくれる。




火影室に戻って、いつもの定位置に座る。
溜まった仕事に目を通そうとするが、全く頭に入ってこない。
今のオレにできることは、報告を待つことだけだとわかっているが、何ひとつ手につかない。

俯いてギュッと目を瞑ったとき、シカマルが静かに言った。

「6代目、行ってください」

思いがけない言葉に顔を上げる。

「行きたいんでしょ。
どうぞ行ってください。
あとでオレも一緒に怒られますから」

そう言ってシカマルがニっと笑う。

「シカマル…。ありがと!」

「その代わり、すずらんさんと一緒に必ず無事で帰ってきてくださいよ」

部下の優しさが心に染みる。

「うん。約束する」

そう言うと、窓から飛び出し猛スピードでアジトへと向かう。
すずらん、頼むから無事でいてくれ!!
心の中で何度も祈りながら、暗くなってきた道を走り続けた。



アジトの周辺では、待ち構えていた赤羽一族との激しい戦闘が巻き起こっていた。

「拉致があかねぇ!
ナルト!サクラ!先アジトに行け!
この先の洞窟だ!」

「わかったってばよ!
サクラちゃん!行くぞ!」

「うん!」

サクラと戦っていた忍びを蹴り倒して道を作り、一気に2人が戦線を突破する。

 しばらく行くと洞窟が見えてきた。
見張りに立っていた奴を一気に倒すと、中に忍び込む。

洞窟の中はきみが悪いくらい静かで、ピチョン…ピチョン、と水滴が床に落ちる音だけが、微かに聞こえていた。
しばらく行くと、少しひらけた場所に出る。

「おや、火影は来なかったのかい?」

きみの悪い声が空洞に響き渡る。

少し段になったところに、ぐたりと横たわるすずらんを抱えた男が立っていた。
男は顔に張り付いた濡れたような黒髪の間から、ニヤニヤときみ悪く笑っている。

「せっかく、本人の目の前でこの娘を殺してやろうと思ったのに」
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