第7章 赤羽の猛攻
「ごめんね仕事中に。
カカシに渡したいものがあって。
シカマルくんに建物の前で偶然会って、聞いたらここで休憩してるから直接渡してあげてって言ってくれて」
「渡したいもの?」
「あのね、カカシ最近忙しくてご飯ちゃんと食べれてないんじゃないかと思って、コレ持ってきたの」
そう言うと、手に持っていた大きな包みを開いた。
中にはタッパーに入ったたくさんのおかずたち。
そして、たくさんのおにぎり。
「シマと一緒に作ったから、味は保証するよ。
冷蔵庫に入れて、タッパーに書いてある日付までに食べてね。
おにぎりは、多かったら冷凍もしとけるから、チンして食べてね。」
指差しながら一生懸命説明するすずらんが愛しくて抱きしめる。
「わっカカシっ!!
ここ、外!!丸見えだよ!」
顔を真っ赤にして訴えるすずらんを、逃げられないようにさらにギュッとする。
「いいよ」
「……恥ずかしいよ」
そう言いながらも大人しく腕の中におさまってくれる。
恋しかった温もりと匂いを堪能していると、すずらんが俺の顔に手を伸ばし、目の下を指でそっと撫でる。
「目の下、クマになってるよ。
忙しいんだね」
「ん、ちょっとね。
全然会いに行けなくてごめんね」
「そんなのいいから、寝れるときに寝てね」
「すずらんが添い寝してくれたらよく寝れるかも……」
わざと耳元で囁くと、すずらんがわかりやすく真っ赤になりながら「からかわないで!」と頬を膨らませて怒る。
寝不足と仕事量にギスギスしていた心が癒されていくのを感じる。体を少し離し、目を合わせる。
「すずらんの顔見たら元気出た。
ご飯ありがとう。
弁当ばっかだったから助かる。食べるね」
「うん!」
すごく嬉しそうにすずらんが笑う。
じゃ、そろそろ戻ろうかな。とすずらんから離れると、一瞬すずらんが寂しそうな顔をする。
でも次の瞬間にはタッパーを包み直して、はいっと笑顔で渡してくれる。
「すずらん、ひと段落したら、絶対また会いに行く」
「うん。待ってるね」
寂しさを耐えて笑うすずらんにたまらなくなり、ドアの影に腕を引いて連れて行くと、深く口付ける。