第7章 赤羽の猛攻
ここ数日、他里との会合や任務の増加などで忙しい日が続いていた。
もう2週間すずらんとは会えていない。
どうしてるかな。
束の間の休憩時間。
外の空気が吸いたくて表に出る。
外では、忍術学校の手裏剣の授業が行われていて、それを見るともなしに眺めながら、はーと口からため息がこぼれる。
「幸せ逃げますよ。先輩」
声のした方に視線をよこす。
「テンゾウ……」
「そんな面倒くさいって顔しないで下さいよ。
それに今はヤマトですって」
お決まりの掛け合いをしたあと、ヤマトが真剣な表情になる。
「何か、あったの?」
任務をわざわざ抜けて直接会いに来たヤマトに、嫌な予感がして尋ねる。
「はい。噂を耳にしまして」
「噂?」
「先輩に可愛い彼女ができたって」
ニコリと笑うヤマトの脛を思い切り蹴り上げる。
「っっっ!!!」
「で?なによ?」
「っとに、相変わらず容赦ないですね……」
涙目のヤマトを無視して、話の先を促す。
「木の葉の里に恨みを持つ一族の末裔が、大戦で弱っている木の葉を狙っているとか。
なんでも、赤羽一族と言って毒を用いる一族らしく、近々接近があるかもしれません。」
「わかった。
調査と、里の警備強化しとく」
「はい。あと、火影であるあなたの警備も厚くしてくださいよ」
「はいはい」
適当に相槌をうつ。
困ったようにため息をつきテンゾウが何かを言おうとしたとき、「カカシ?」とすずらんがドアを開けてこちらを覗きこむ。
「あっ!来客中でしたか。
すみません」
と慌ててドアを閉めようとする。
「もう話は終わったし、大丈夫だよ」
こいこいと手招きすると、嬉しそうにすずらんがこちらに来る。
「初めまして。すずらんです」
とすずらんがヤマトに頭を下げる。
「ヤマトです。
お噂はかねがね伺ってます」
「え?」
「どんな噂よ」
「さあ、それはご自分で確かめてください。
それじゃ先輩、さっきの件よろしくお願いします」
「うん」
短く答えると、シュッとヤマトの姿がかき消える。
「わたし、邪魔しちゃった?」
眉尻を下げて聞くすずらんに、ううんと首を振る。
「もう終わってたから大丈夫だよ」