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きみを想う

第4章 花火


その顔があまりにも優しくて、緊張が溶けて思っていたことを話す。

「あの、お見合いのときに言った好きな人に、赤ちゃんができたんです」

「えっ!?」

急な話に、火影様が声を上げる。

「でも、自分でも驚くぐらい、ショックじゃなくて……。
それよりも、今日が楽しみで、楽しみで仕方なかったんです」

「え……、それって……」

ポツリと小さな声で言う火影様を見上げると、驚いている火影様と目が合う。
しばらく見つめ合っていたけど、火影様がいきなりわたしをギュッと抱きしめた。
そして、「それって、こういう意味って思って良いんですか?」と、わたしの耳元で熱い吐息で囁く。

耳に息がかかり、ビクッと反応してしまう。
火影様の広い胸の中は温かくて心地いい。
ギュッとその背中に腕を回して抱き返すと、「はい」と頷く。

すると抱きしめていた腕に力が篭って、

「好きです。あなたが」

わたしの髪に唇を埋めながら、火影様が囁く。

心臓が、おかしくなるくらいドキドキしている。
想いが通じ合うって、こんなに嬉しいんだな。

「わたしも、好きです。
火影様が、好き……」

そのとき、どぉ…んと大きな花火が暗い夜空に上がる。

「あ、花火……」

振り向きかけたわたしの顔を、火影様の指が捕まえて、優しく唇が重ねられる。

「んっ……!」

目を見開くと、間近に口布をずらした火影様の顔。
遠くに花火の音が聞こえる。

唇がゆっくりと離されると、鼻が触れそうな距離で火影様が微笑む。

「すいません。あなたがあまりにも綺麗だから、我慢できませんでした」

悪びれる様子もなく言う火影様がカッコ良すぎて、言葉がうまく出てこなくなってしまう。

「っ、ずるいです。カッコ良すぎて……」

赤い顔で、それだけやっと呟くと、火影様がポカンとしている。

「え?オレ、かっこいいですか?」

「今も、助けてくれたときも、風邪で寝てたときも、全部全部、カッコ良すぎです。
好きにならないなんて、ムリです」

すると、また火影様の腕の中に抱き込まれる。

「あなたを助けたのが、オレでよかった……」

ギュッと抱きしめられ、幸せで涙がでそうになる。
火影様の肩越しに見える花火はすごく綺麗で、一生忘れないだろうな、と思った。

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