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きみを想う

第3章 風邪


そんな邪な感情を知る由もないすずらんが、「お粥、作っちゃいますね。」と、キッチンに再び戻る。
その後を、心配なので、オレもついて行く。
汚れたコンロをきれいに拭き、再びお鍋を火にかける。

「お粥はすぐふくので、沸騰したら、蓋は少し開けて、弱火にします」

「なるほど。
火影様は、手慣れてますね。
料理、なさるんですか?」

「今は忙しくてあまりしませんが、一人暮らしが長いのでできるようになっただけです」

「そうなんですね!
あっ!火影様はそろそろベットに戻ってください!
後は、お米が柔らかくなったら、卵を解いてネギを入れるだけなんで」

たくさんメモ書きされた紙から顔を上げ、すずらんが背中を押すように優しく触れる。

「あっ火影様、すごい汗!
あの、温かいタオルすぐお持ちします。
汗を拭いて、着替えてください。
着替え、ありますか?」

世話を焼かれることなんてないから、なんだかくすぐったい。

「…すみません。ありがとうございます」

タンスから一通りの寝巻きの上下と下着を取り出しベットに行くと、ホカホカのタオルをすずらんがわたしてくれる。

傷の手当てなどで女でも気にせず上半身裸になるクセで、ついパッと上を脱いでしまう。

「きゃっ!」とすずらんが短い悲鳴を上げる。
その表紙にベットの角に躓いてしまい、オレの裸の胸に倒れ込む。
オレは咄嗟に華奢な体を抱きとめた。

「すっすいません!!」

すずらんが慌てて身を起こしてオレから離れる。
顔はタコみたいに真っ赤になっている。

「いえ、オレこそ急に脱いでビックリさせてしまって、すみません。
すぐ着替えますから、向こうをむいていてもらってもいいですか?」

「はははは、はいっ!!」

動揺しまくりながら、すずらんがキッチンの裏に逃げ込む。

柔らかな、明らかに忍びとは違うすずらんの体の感触が、まだ手に残っている。

オレ、ほんとヤバイな……。

前髪をグシャリと掴み、はぁ、と小さなため息をこぼす。

キッチンに隠れて見ないようにしてくれてるすずらんのためにパパッと着替えを終わらせると、洗濯カゴに汚れ物を持っていくついでに、すずらんに着替え終わったんで、と声をかける。
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