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きみを想う

第15章 永遠


「やー!花火怖い!」

目から涙をぼたぼた流してタンゴが泣きじゃくる。

モモとタンゴ、2人に小さな浴衣を着せつけ準備は万端。
だが。
去年の恐怖を覚えていたタンゴは大号泣。

今年も行けないかなぁ。とため息をついたとき、「ただいまー」とカカシが帰ってくる。

「あ、パパだー!お帰りなさーい!」

モモが玄関に駆けていく。
わたしもタンゴを抱っこして、玄関に向かう。

「カカシ、お帰りなさい」

「ただいま。タンゴの泣き声外まで響いてたよ」

モモの浴衣姿を褒めていたカカシが苦笑して、まだしゃくり上げるタンゴの頭を撫でる。

「パパ、タンゴやっぱり花火が怖いんだって」

「無理して行くのもかわいそうだし、カカシ、モモは花火見たいって言うから2人で行ってきてくれる?」

「うーん、それでもいいけど…」

カカシが少し考えてから、おもむろに家の二階へと上がり、ベランダから屋根の上に登る。

ああ、その手があった。

不思議そうに窓から外を見上げる子供たちのところにカカシが降りてくる。

「たぶん、屋根からでも見えそう。
タンゴは花火の大きな音が怖いんだよな」

まだ涙の痕が残る顔でタンゴがコクリとうなずく。

「家から見たら、音もマシだからきっと怖くないよ」

同じ銀髪のフワフワの頭を撫でて、カカシが優しく笑いかける。

「ほんと?」

「うん」

半信半疑のタンゴをカカシが抱き上げる。

「一回屋根の上、上がってみる?」

「うん!」

嬉しそうにタンゴがうなずき、カカシの首に小さな手でしがみつく。

「えー、タンゴだけずるい!
モモも行きたい!!」

ぴょんぴょん飛んでカカシにしがみつくモモをタンゴを抱く手と反対の手で抱き上げて、カカシが屋根の上へと一気に跳躍する。

「きゃー!」

子供たちの歓声が聞こえる。

「カカシ、わたしはお弁当と水筒持ってくるね」

「うん」

一度下に行って、今日のために作ったお弁当を持ってベランダに出る。

「カカシ、これお願いー!」

屋根に向かって声をかけると、一度カカシがベランダに降りてきて、お弁当を抱えたわたしごと抱き上げて、屋根に上がる。

「わっ!!」

久しぶりの浮遊感に思わず声が出る。
子供たちの前で抱かれるのは、何だか照れ臭くてすぐに降りようとしたが、しっかり抱きしめられていて叶わない。
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