第15章 永遠
子供たちがポカンと口を開けてわたしたちを見ている。
「ママ、パパに抱っこされてお姫様みたい」
しばらくして、目を輝かせてモモが言う。
お弁当持って、エプロンつけて、とんだお姫様だけど…と苦笑すると、カカシが、「だってママは、パパのお姫様だもん」と言う。
えっ、とカカシを見る。
当のカカシはニコニコわたしを見ている。
顔に熱が集まるのを感じる。
「ダメー!!」
トタトタ近づいてきたタンゴがカカシの足をポカポカ叩く。
「ママはタンゴと結婚するの!
だからダメなの!」
かわいいタンゴの攻撃を避け、カカシが笑う。
「ママはパパと結婚してるから、タンゴは別の人探してくださーい」
「だめー!」
涙目のタンゴにおかしくなって、みんな笑い出す。
そのとき、遠くで花火の音がする。
ヒュー、ドォーン、、
どぉーーん……パラパラ
暗い夜空に色とりどりの花火が咲く。
みんな空を見上げて止まる。
心配だったタンゴも、怖がってはいなさそうだ。
大きな目を見張って、花火に釘付けになっている。
ストンとカカシがわたしをやっと下ろして、弁当を持ってくれる。
それに気づいたタンゴがギュッとわたしの足に抱きつく。
その頭を撫でてモモの近くまで行くと、タンゴを膝に抱いて屋根の上に腰掛ける。
カカシもモモを膝の上に乗せて隣に腰を下ろした。
しばらく無言でみんなで花火に見入る。
「綺麗だね…」
ポツリと言うと「うん」とみんな頷く。
みんなでお弁当を食べながら見る花火は、格別に綺麗だった。
最後のフィナーレを迎える頃には、タンゴは夢の中。
なんとかもったモモも目を擦って眠そうだ。
さっと風呂に入れ布団に運ぶと、1分もしないうちに寝入ってしまった。
しばらく2人の寝顔を眺めていると、髪を拭きながら風呂上りのすずらんが顔を覗かせる。
「寝た?」
「うん。すぐ寝ちゃった」
「ふふ。はしゃいで疲れちゃったんだね」
ペタリとオレの横に座って、すずらんも2人の寝顔を愛おしそうに眺める。
「すずらん…」
「ん?」
「オレと結婚してくれて、ありがとね」
「え?急にどうしたの?」
思わず大きな声が出てしまったのか、すずらんが自分の口を両手で押さえる。
その仕草に笑って言葉を続ける。