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きみを想う

第15章 永遠


耳掃除が終わり、すずらんの横に腰を下ろす。
なんとなくまだ触れていたくて、床に下ろされていたすずらんの手にそっと自分の手を重ねて握る。
少しビックリした顔ですずらんがオレを見上げてから、恥ずかしそうに笑って、また子供たちに視線を戻す。

しばらく眺めていたけど、子供たちが少し飽きてきたので、つっかけを履いて庭に出ると、庭木に水をあげる為のホースの先を潰して、子供たちの頭上から雨のように水を降らせてやる。

子供たちはキャーキャー言いながら喜んで跳ね回る。
太陽の光で輝く水たちが小さな虹を作る。

たっぷり遊んで、さすがに唇の色が悪くなってきたので、上がって服を着替えさせる。
すずらんが、約束通り順番に膝の上に寝転ばせ、綿棒で耳の水を取ってやると、子供たちは幸せそうに笑顔をほころばせた。



昼食にそうめんを食べると、水に入って疲れた子供たちは、あっという間に眠ってしまった。

「寝ちゃったね…」

畳の上で寝てしまった子供たちにバスタオルをかけてやるすずらんの背中に小さく声をかける。

「うん。子供たちが寝ると一気に静かだよね」

「うん」

すずらんの隣に座って子供たちの寝顔を眺める。

「大きくなったねぇ」

「うん」

縁側につけた風鈴がチリ…ン、と涼しい音を立てる。
去年の花火大会の時に買った風鈴。
2歳だったタンゴが花火の音にびっくりして泣き喚き、ほとんど花火を見ずに、この風鈴と、子供たちの綿菓子だけを買って帰ったっけ。

「去年の花火大会思い出した?」

思い出して顔が緩んだオレをすずらんが見上げる。

「なんでわかったの?」

不思議に思って聞くと、「わたしも思い出したから」とすずらんが笑う。

「今年はもう大丈夫かな」

「そうだね」

しばらく心地よい沈黙の中、そよそよと吹き込む風を感じる。
ゆっくりと流れる愛しい時間。

ふいに、すずらんに顔を寄せ、唇にそっと口付ける。
唇を離すと赤い顔で目をまん丸にしたすずらんと目が合う。
胡座をかいた膝の上にすずらんを抱き上げ、もう一度口付ける。
逃げないように頭と腰を固定して、舌を絡め深く口付けると、次第にすずらんの体から力が抜けていく。

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