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【アクナイ】滑稽でも君が好き【短編】

第2章 拝啓、ロボットさんへ【イグゼキュター】




「あっ…!!」


その左手から通信機器が零れ落ちた途端、それは無音で飛んできた弾丸に貫かれ、粉々になってしまった。中身がバラバラになって地面に落ちるのを見届ける前にコンテナの奥に連れて行かれる。


「12時の方向…!!スナイパーだ…!」

「くそ…!!これではドクターに連絡できないぞ…!」

「<私が今取っています。ですが…私はただの医療オペレーターなのであまり期待しないで下さい…>」

「頼むぞランセット…お前だけが頼りだ…!ここで彼女を死なせるわけにはいかない…!」


そう言って男性は私をコンテナの隅に覆いやり、プロテクターで覆った自身の背中で守るように前を向いた。

その後ろで酷く鋭い痛みが走る右腕をグ、と抑えた。



―――――――――



一方その頃、青い目が高台から地上を見下ろしていた。


「前衛オペレーター各位、前へ」


凛とした采配で、数分前に始まった勝負はもう決したと言っても良かった。だが、作戦開始前から彼の目にはこの戦場が気持ち悪く見えていたのだ。

刀から炎を出し、次々と斬り伏せていくオペレーターに恐れ戦き、背を向けて逃げていくレユニオン兵の動きを見て小首を傾げた。


「何故こうも勢力が東に傾いている?逃げるなら手薄の西側だろう。わざとルートを開けているんだぞ、逃げるならさっさと逃げればいいものを…」

「ドクター、東にはヴィグナさんやマトイマルさんの隊がいます。少しバラバラに散開しているのが気になりますが、それ以外目立ったことはありません。」


そう言ったのは隣でドクターと同じように通信機器を手に地上を見下ろしているアーミヤだった。いつでも報告を受けられる体制を取っている。


「誰か斃れたのか?その隙を狙ってるなんてことは?」

「いえ、そのような報告はありません。事は全て正常に動いていて―――」

「アーミヤ?」


言葉を途中で止めて耳に手を当てたアーミヤの水色の目は激しく揺れていた。

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