第2章 拝啓、ロボットさんへ【イグゼキュター】
「貴方を負担と思ったことは、あの数十時間一度もありませんでした」
「!いや、でも…睡眠できてないし…」
「しました。4時間ほど」
「え、そうなのか?」
素っ頓狂な声を出したのは私ではなく、ドクターの方だった。何故彼がそんな声を出すのか、と視線を送ると、小首を傾げてイグゼキュターを見ていた。
「任務中は一睡もしないお前が?4時間も?」
「何それブラック会社か!?」
「い、いやイグゼキュターが真面目なだけだ。寝ろと言っても絶対寝ないからな…珍しい。どうした?疲れていたのか?」
ドクターがポン、と肩を叩く。イグゼキュターはその問いにフルフル、と首を振り否定した。
「いえ。そのようなことはありませんでした」
「…はは。ならさくらの部屋は相当居心地が良かったんだろう。意固地なお前がなー…そうかそうか。そうだな…ならうっかり居眠りも納得も出来るよ。お前は居心地の良い場所が恋しいんだろう?だから任務続行を願い出た。違うか?」
「ちょ、ちょちょちょ、ちょっとドクター…」
推測で何を言い出すんだ、とデスク前に戻ってマグカップを口につけるドクターを見る。
任務こそ第一という真面目な彼の口からは否定的な言葉しか望めないだろうに。
と、思っていたのだが…
「かもしれません」
「はい!?」
「だろう?なら任務続行を容認する」
「はいい!?」
そういう結論になるんじゃないかと危惧していたがまさか本当になるとは思わなかった。
すぐに両手と首を振るが、ドクターは私のその両手を握ると、サンドイッチのように手を挟んだ