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【アクナイ】滑稽でも君が好き【短編】

第2章 拝啓、ロボットさんへ【イグゼキュター】



「……う」


人がいても案外寝れるものだな、と寝返りを打つ。
白い後頭部はそこから移動しておらず、ピクリともしていない。
次に置時計に目を向ける。まだ朝早い。


「(…二度寝できる…)」


枕に顔を擦り付けてもう一度瞼を閉じて二度寝する体勢に入る。


「おはようございます」

「…おはようございます…」


無理だった。


「…ちゃんと寝ました…?」

「先程5分ほど」

「いやそれは寝た言わない…」


朝から昨日の押し問答の続きをする気はない。だが、5分しか寝ていないのは流石に何かしらの業務に差し支えるだろう。


「もう起きますから…ベッド使ってください」

「結構です」

「あああもう真面目なんですよ!!ほら早く!!」


交代、と言わんばかりにその体を引っ張ってベッドに押し込んだ後、自分は立ち上がって伸びをする。


「…」


思いきり背中にチクチクと視線を感じて振り返る。
微動だにせず、青い目はしっかりとこちらを見ていた。私が布団を肩までかけたせいでとてもシュールに見える。


「…貴方が起きるまでこの部屋にいますからドーゾ寝てください」

「…」


すると、青い目は一度瞬きをした後、壁の方を見てはゆっくりと瞼を閉じた。
それを見て、音を立てないように口から息を吐いて落ちた毛布を拾い上げて近場の机に置く。


「ふぁ~…」


欠伸を落としながら洗面所で顔を洗う。すると冷たい水と共に眠気は簡単に流れて行った。
歯磨きも手早く済ませ、寝室に戻ってくる。と、静かな朝の部屋で、小さい寝息が耳に入って来た。


「…寝てる」


きっと気配で察知されるから近付かないが、ここから見ても分かる、今天使は夢の中。それも薄く口を開いてとても安らかな寝顔だ。


「…可愛いとこあるんじゃん」


小さく笑い、本棚から一冊取り出しては一人掛けの椅子に腰かけて、彼が起きるまで朝の読書タイムを堪能することにした。

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