第5章 髪
ユウの手によってすべての施行が終わり、
ヘアセットもされた角は
感動したように目を見開いている。
「はいっ、これで完成です!」
「お~っ!原石が輝いた!」
「もう絶対モテモテっスよ!
会社行った時のみんなの反応、
楽しみっスね~!」
スタイリストの先輩や護が、
生まれ変わった外見を褒めたたえている。
もともとの顔の素材はいい。
全体的なバランスといい、
肌もきれいで、
キリッとした一重まぶた、
鼻も高く、
眉毛も整えられて、
今まで前髪で隠していたのが勿体ないくらいだ。
鏡を見つめていた角は
俺の方に振り向き、
「気分はどうだ?」
と聞くと、
「最高です」
と満更でもない目を細めて笑う。
初めて崩した屈託のない笑い顔に
胸の四隅がまた強く、撫でられた気がした。