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【R18】Querer【創作BL】

第42章 モデル


牛垣武明で、竹ちゃんとタケで発音が被ってしまう。
牛垣も外せないけど下の名前で考えたい。



「下の名前、武明だから…アキっていうのは…」

「ん?」

「あっ、いやごめん!話し遮っちゃって…っ…」



考えていたことが口から漏れてしまった。
今の会話は自分は混ざっていないかもしれない。
慌てて否定するが、牛垣くんは目を細めて上品に笑う。



「アキ、か。いいな。それ気に入った」

「俺もそれでいいと思う!アキに決定!うえーい!ヤーリーギは…」

「ヤリギじゃない、ウツギだ。ヤリだったらタケより出席番号後ろになるだろ」

「あ。そっか。悪ぃ」

「それにしても珍しい読み方だよな。槍は銃みたいに撃つから…、そんな感じか?」

「俺にも分かんない…。ごめん」



槍はどうしてもヤリと訓読みで読みがちだ。
音読みだとソウ・ショウだし、ウツは何処からやって来たのだろうか。
自分の名字なのにそこまで疑問に思ったことはなかった。



「槍木の小中の頃のあだ名は?なんかねーの?」

「……、」



小中の頃のあだ名を竹ちゃんから聞かれた。
父や文太くん、瑞希くんはそのまま。
母は基本ユウちゃんで、たまにユウくん、ユウと呼んでくれていた。

海星くんも……。



「下の名前が祐次郎だからユウとか、ユウくんって呼ばれてたことが多かったかな」

「うんっ、なんか分かるかも。じゃあユウに決定!祐次郎ってことは、次男坊?」

「ううん。一人っ子なんだけど…みんなは?」



あんまり返答が遅いと空気が悪くなると思った。
それよりも表情に出しちゃいけない。

不登校だってバレたくない。
いじめられてたってバレたくない。
恥ずかしいし同情されるのもなんだか違う気がして。

三人にはそれぞれがいた。

アキには5つ上の兄。
竹ちゃんには姉と兄。
大ちゃんには妹がいる。



「へえ~!みんな兄弟いるんだ。羨ましいなぁ…」

「兄貴の写真みるか?」

「見たいっ!アキの兄貴、どんなのか気になる!」

「ゴリラじゃないけど変な写真あるぞ」



アキが兄弟の話題を繋げてくれて、小中の頃の話は突っ込まれなくて済んだ。
ホッと胸を撫で下ろすとガラケーの画面を向けられた。


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