第42章 モデル
「な?俺の兄貴、すごい筋肉だろ?」
「うん…すごいムキムキ」
ボコッと盛り上がった胸筋、ボコボコの上腕、バキバキに割れた腹筋。
程よい体幹と小顔とのバランスがとれた屈強な肉体。
変顔をしているが、小麦色の肌で顔立ちの濃いイケメンお兄さんだった。
「どっかで見たことあんだよなぁ…。なんだったかなぁ…」
「いま大学生。東大に行ったら会えるぞ」
「インテリだと?!寮、もしや一人暮らし?」
「実家暮らしだ。あいつが一人で生活できるとは思えん」
「それまたなんで」
「兄貴のヤツ、外はやるけど家のことは何もしようとしない。掃除も洗濯も、飯作ったりもできないし全部お袋に任せっきり。プロテインは自分で作ってるけど」
「プロテイン!!この筋肉付けるためにはやっぱプロテイン必須?!」
「タケくらいでも十分間に合うぞ。元々柔道や空手の格闘技好きから筋肉好きになって、家にトレーニング部屋まで作り出すし」
「え。ってことはコレ家んなか?」
「マジかよ!!豪邸かよ!!」
「豪邸っていうレベルじゃない。のどかで気に入ってる土地だけど都心に住んでるお前らには見劣る」
こんな立派なトレーニングマシンの数々があるなんて、謙遜どころか育ちは良さそうだ。
自然がいっぱいの東村山市。
東京郊外だとはいえど立派な一軒家。
因みに母はカラオケが趣味でその部屋もあるとのこと。
「なあ、今度アキん家遊びに行ってもいい?」
「兄貴に用か?」
「それもあるけど単純にお邪魔してみたい。卒アルみたい。部屋みたい。遊びたい」
「そん時は俺もよろしく」
「ツーセットな。考えとく」
「よし!約束だからな!」
「いや、考えとくだから正式な約束ではないぞ」
「この話の流れは前向きな考えとくだから話は来る!お前も行きたいよな!ユウ」
「えっ、あ……うん」
「家にお邪魔する時は菓子折り用意しなきゃだな。アキのお袋さんなにが好き?」
「いいって。かしこまったら即追い出す」
「そうくるー?」
「くーる、きっとくるー♪」
竹ちゃんのフレーズから映画リングのテーマを歌い出す大ちゃん。
貞子の真似をして、ホラー映画のはずなのに何故だが二人揃って笑わしてきたのであった。