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【R18】Querer【創作BL】

第41章 進学


下を向いていた俺にも挨拶をしてきた。

前に座っていた阿部くんにも挨拶をしていて、前後に挨拶をするコミュ力高い系男子。
なんていい子なんだ。



「おはよう。槍木です、よ…よろしくお願いします」



たじたじで情けない感じになってしまった。
声は、届いているだろうか。

視線を上にあげていくと、目の奥がカッと開いた気がした。
この声に、この匂いに、この性格に外見。
美しすぎて失神しかける。
息をしていることさえ怪しくなった。



(王子様だ…)



挨拶が終わると口元が更にくっと持ち上がる。
王子様は俺をみて微笑んでいる。

塩顔なのに、くっきりとした二重の瞼と輝きのある瞳。
長いまつ毛とキリッとした眉毛。
綺麗な肌に乗った薄い唇。
高くて筋の通った鼻。
長すぎず短すぎてもいない清潔感のある黒い髪。
バランスのよい顔だけでなく高身長。
さらに言うとイケボ。
もっと言うとずっと追いたい変化する表情。



「くく、緊張してんな。こっちまで移りそう。もしかして高校デビューで髪染め過ぎた?」



王子様は砕けた口調で俺に話し掛けている。
この頭だから目立ったか。
俺の返事を待つように椅子に座って、こちらを見ている。



「えっ、あ…うん。実はそうなんだ。よく分かったね…」

「だと思った。でもその方が良かったかも。似合ってるぜ」

「え?…」



王子様はそう言って腕を伸ばしてきた。

まるでお姫様を相手にするみたいに横髪を撫でてきて、目で見る情報と思考が追い付いてきず、顔から火が噴き出たようにボッと熱くなった。


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