第41章 進学
「どっどうしよう…。昨日染めるんじゃなかった。なんで昨日にしたんだろう。こんなになるとは思わなかった。どうしよう…っ」
尋常なる違和感。
気持ち明るめにしようと思ったら明るくなり過ぎた。
すぐ黒染めするべきだろうが、髪が痛んでしまうデメリットも気になる。
昨日、髪を乾かした時点でオレンジ色っぽくなり過ぎたと気付いていたが、「なんとかなるさ!」と妙なテンションの自分もどうかしていた。
「すごい違和感あるな…」
「どうしよう父さんっ。これじゃあ明るすぎるよね」
「規則違反ではないんだろう?」
「…うん。そう書いてはあったけど…」
「先生に言われたら戻せばいいんだ。誰も髪色だけで不良だなんて思わない。人は見た目じゃないって施設の子もそうだっただろう?」
「うん。文太くんは本当に良くしてくれた。ほかの皆も…」
「ちゃんと自分を見てくれる人がいるってそういうことなんだ。クラスにそういう子が居てくれると嬉しいな」
「うんっ!そういう友達ができたらうれしい、けど…」
自分を見てくれる友達。
大切にしてくれる友達。
尊重してくれる友達。
小学校の頃は間違った方向に行ってしまったからこそ、今度こそやり直したい。
高校リベンジ。
登校初日はワクワクもあって、同じくらい不安もある。
それは自分だけじゃない。
きっと皆も同じなんだ。
「とりあえず行けるだけ行ってみろ。祐次郎は数ある受験生の中から選ばれたんだ」
俺が行きたいと選んだ都立高校。
その高校がこんな俺を生徒として選んでくれた。
家から高校まで隣駅。
徒歩5分にあるところに越してきた。
万が一の為に。
父は、人が変わったように接してくれた。
今まで育ててくれた母がそうしてきてくれたように。
だから俺も変わりたい。
この髪色みたく変わんなきゃいけないんだ。