第5章 髪
俺を見るなり、
挑発的な顔を向ける赤司。
「なにしにって、俺、
ここの派遣カメラマンとして来たんです。
今日はよろしくお願いしますネ」
「ああ。そうなのか」
「反応薄っ!
もっと言うことねぇの!?
驚いたとか、おめでとうでも一言いうとか!」
赤司はやたらと俺に突っかかってくる。
根っから嫌われてる感じはしないが、
好かれているという感じでもない。
「元気そうでなにより」
「そーだよ。
そういう一言が欲しかったんだよ…、
って俺のことバカにしてねぇか、それ!?」
「ユウ。頼む」
「はいは~い。
髪乾かしていくね。
赤司。
アキの会社の人なんだから
失礼しちゃダメだぞ」
「そこんとこは大丈夫。
ねっ、湊さん」
赤司の方が年下だというのに、
初対面相手に
馴れ馴れしく下の名前で呼んでいる。
あの数分のあいだに
それほど距離を縮めたというのだろうか。