第5章 髪
「アキ!いらっしゃい。
角くんだね、はじめまして。
槍木祐次郎です。
気軽にユウとか、ユウさんって呼んでね」
「こ、こちらこそ、はじめまして。
角湊と申します。
本日は、主任にご紹介いただきまして、
よろしくお願い致します…っ」
ピシッと姿勢を正して挨拶し、
深々とお辞儀をする角。
「アキから聞いたんだけどさ、
いつもお仕事を熱心に頑張ってくれてるって。
今日はそんな自分にご褒美しちゃお!
ここで立ち話するのもアレだから、
席に案内するねっ」
美容室の頻度は1ヵ月~1か月半。
俺は、親友でありながら
ユウというスタイリストに惚れ込み、
すべてを任せている。
だんだんと温かくなる季節。
今日はどんな風に仕上げてくれるのか、
わくわくで楽しみだ。