第5章 髪
受付には顔見知りのアシスタントの子がいて、
ぱぁーっと明るい笑みを見せてくれる。
「あっ!アキさんじゃないスか~!
お待ちしてましたっ!」
「おう。
予約より少し早い時間に来てしまったんだが」
「いまユウさん仕上げ中で、
もう少しで終わると思うので…。
あっ!こちらはもしかして、
噂の部下さんスか?
どもっ、護っていいます!はじめまして~」
「はじめまして…。
角、と申します」
この店の常連だから
俺の顔はすっかり憶えられている。
手を持て余していた店員もやってきて、
少々賑やかな場になる。
「お~、キミ格好良いね~。
モデルとか勧誘されたことなぁい?」
「い、いえ…。まったく…」
「髪型整えたらもっと格好良くなれるぜぇ?
アキさんもいい原石連れて来たねぇ。
イケメン揃いの会社かよ。羨まスィ~」
「おまたせ~っ」
仕上げが終わったのか、
話が盛り上がっているなかでユウが顔を出した。